真由美「ほんとに辞めんの?」

アキラ「ん?ああ。っていうか、もう辞めた」

真由美「それで?」

アキラ「それでって?」

真由美「ほんとに行くの?」

アキラ「そう書いて送っただろう」

真由美「そんな大事なこと、ラインでってひどくない?」

アキラ「お前には真っ先に伝えておこうと思って」

真由美「あのさ、私、相談とか何にもされてないんだけど」

アキラ「・・・・・・」

真由美「急すぎない?」

アキラ「決めたのは急だけど、ずっと前から思ってたことだから」

真由美「でも、もう少し、よく考えてみたほうが・・・」

アキラ「何度も考えたよ、俺なりに。これ以上考えても仕方がない」

真由美「・・。あとは実行あるのみ、ってか?」

アキラ「だな」

真由美「・・・・・」


ニューヨークが好きなわけじゃない。特に憧れもない。ポップアートとか、ヒップホップとか、そんな文化発祥の地で本場の空気に直に触れてみたいんでもない。ただ、高校ン時の先輩が向こうでラーメン屋を出したら思いがけず当たっちゃって、手伝ってくれないかと頼まれた。だから俺はニューヨークに行く!お前とは、・・・別れる。今日までありがとう、感謝してるよ、お前と出会えてほんとうに良かったと思ってる。と同時に、先輩のラーメン屋で一生懸命頑張ろうとも思っている。店長になってやる、とすら、考えている。